新しい,コンパント,わかりやすい!
4〜7世紀を中心に中東ほか西アジア各地で用いられ,イスラームにギリシアの学問を導入する仲介役を果たし,同地域のシリア正教の典礼語としても重要な後期アラム語のひとつ,シリア語(エデッサ語・メソポタミア語)の初学者向けテキストです。現在のところ,シリア語の初歩を日本語で解説した本はなく,同語を学習する場合は,外国語を介さなければなりませんが,英語を媒介とする場合,最初に推薦できるものとして本書が挙げられます。 構成は,通常の語学入門書と同様に,全体を20課に分け,語彙と文法事項を漸進的に学ぶようになっています。第20課の後には,語形変化表,読章(ペシタ版聖書からバルヘブライウスまで多彩),語彙のまとめが続きます。類書と異なり,各課の本文のシリア語には,エストランゲラ体文字が用いられていますが,原則的にラテン文字転記が添えられています。 新しい本だけあって,レイアウトも印刷も見やすく,解説文もきわめて平易な英文です。また,ヘブライ語等の他のセム諸語の知識は,本書で学習する限り,ほとんど必要ありません。 ただ,細かい理論的説明にまでは触れていませんので,自ずと丸暗記をしなければならないところ(特に,発音と名詞・形容詞の語形)がいくつかあり,また,語形変化表はラテン文字表記のものしかまとめられていません。これらについては,他の文法書(ネルデケ等)で補えばよいでしょう。 いくつか問題点はありますが,日本の初学者にとっては,シリア語への敷居を格段に低くした新しい本として,本書はぜひとも備えておきたいものと思います。 |